障害のある社員が長期にわたって職場で働く中で、加齢に伴う身体的・認知的な機能低下が生じることは 避けられない課題です。特に、視覚や聴覚、運動機能の低下、あるいは疲労回復の遅れ、集中力や記憶力の低下などは、業務遂行に影響を及ぼすことがあります。
企業としては、障害特性に加え、加齢による変化を踏まえた支援と配慮を行うことが重要です。まず基本となるのは、定期的な健康状態の把握と業務評価です。本人と面談を重ねながら、無理なく業務を遂行できているかを継続的に確認し、必要に応じて業務内容の 調整や配置転換を行います。たとえば、立ち仕事から座位中心の作業への変更、情報処理系業務でのサポートソフト導入、作業時間の短縮などが考えられます。
また、職場全体での支援体制の強化も欠かせません。一人で業務を抱え込ませない体制づくりや、チームでカバーし合う文化の醸成が、長く働ける環境づくりに寄与します。加えて、定年延長や再雇用制度の中で、個々の能力や体力に見合った就労形態を選べるような柔軟な制度運用も求められます。
さらに、ライフキャリアの視点も重要です。障害のある社員が自らの将来像を描きやすくするため、キャリア相談や社内研修、リスキリングの機会を 提供し、年齢に応じた働き方の選択肢を広げていく取り組みが効果的です。企業が障害のある社員の加齢に伴う変化を適切に受け止め、働き続けられる環境を整えることは、多様性を活かす職場づくりの一環であり、全従業員にとって安心できる職場文化の礎となります。
障害者総合支援法における就労継続支援においても加齢の影響はあります。
◆主な課題
・体力・集中力の低下による作業遂行能力の低下
・長時間の立ち仕事や反復作業の困難化
・医療との両立、生活支援の必要性の増加
・高齢化により「卒業」ではなく「福祉的居場所」の必要性が強まる
◆対策と支援のポイントは、医療・介護との連携が強くなるものの一般企業のそれと考え方は同じです。
(1)作業内容や勤務形態の柔軟化
座り作業への変更、軽作業への切替 など本人の負担軽減を図る。A型からB型への変更、短時間勤務の選択や 中抜け制度 などで、無理のない就労継続を実現。
(2)役割の再定義
経験を活かして後進の指導や、作業以外の支援役に回るなど、加齢者にも適した 新たな役割創出。モチベーション維持にも有効。
(3)介護系・医療系サービスとの連携
高齢化に伴い、訪問介護・通所リハビリ等との併用。
新たなサービスとして、生活介護や高齢者デイサービスと就労継続支援B型の間になるサービスが必要になるのではと思うけども、居場所型の就労継続支援B型のようにサービス過多による財政の負荷になりすぎない、仕組みが必要ではあります。
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