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【相談専門支援員のブログ】障害者雇用で「やってもらえる仕事がない!」は本当か?

「障害者に任せられる業務が無い」という声は、障害者雇用に踏み切れない企業からよく聞かれます。実際には、業務の“見える化”と“切り出し”を丁寧に行えば、障害者が活躍できる職域は多く存在します。重要なのは、「今ある仕事をそのまま渡す」のではなく、「分解して再構成する」視点です。

 

業務を切り出しする工夫

例えば、総務部門では書類の仕分け・備品管理・来客対応補助など、日常業務を分解すれば一部を切り出すことが可能です。製造現場では、部品の検品や梱包、清掃、帳票整理など、専門性の高い作業を補完する業務が存在します。こうした切り出しを行うことで、健常社員の業務負荷を軽減し、生産性の向上にもつながります。


実際、ある中堅製造業では、各部署で5~10分単位の雑務を洗い出し、全社横断的に再編成した結果、障害のある社員3名分の業務を確保でき、かつ既存社員の残業が月10時間削減される成果を上げました。これは、「雇用義務」ではなく「業務改善策」として機能した好事例です。

 

安定雇用の3ステップ

障害者雇用を安定運用するためには、以下の3ステップが有効です:
 

  1. 業務の洗い出しと細分化(業務棚卸し)
  2. 障がい特性に合った仕事の再構成
  3. 支援体制と評価制度の整備(定着支援含む)

 

社内で意識が根付けば、障がい者雇用は“制度対応”ではなく“組織に不可欠な 戦力化”へと進化します。この問題は、障害者就労継続支援事業所においても同様に課題になっていると思われます。この現象は、単に仕事量の不足にとどまらず、利用者のモチベーション低下、職業的自立への障害、事業所の経営にも影響します。

 

現状の検証

 1. 仕事の確保が困難な背景

  • 地域産業の縮小:地域によっては外注業務や軽作業の依頼自体が少ない。
  • 物価高騰や人件費上昇による外注回避:企業がコスト削減のために外注を減らす傾向がある。
  • 競合の増加:近隣に多くの事業所があると、受託できる業務が限られる。
  • 事業所の能力不足:職業指導員の能力もあり、営業活動を積極的に行えず、新規の仕事が得られない。

 

2. 利用者のスキルと仕事のミスマッチ

  • スキルアップ支援が不十分で、新たな仕事に対応できない。

 

3. 職員の負担と士気の低下

  •  職員も利用者も「何もできていない」「役に立っていない」と感じ、士気が低下する。

 

対応策

1. 外部業務の獲得に向けた営業強化
地域企業との連携:企業訪問や地元商工会への参加などを通じて、継続的な仕事を確保。

2. 仕事の創出
施設外就労の導入・拡充:他事業所、農園、スーパーなどとの提携により、作業場所を外に広げる。

3. 利用者スキルの底上げ
ICT教育の導入:基礎的なパソコンスキルや簡単なタイピングを教えることで、業務の幅を広げる。

4. 行政・支援機関との連携強化
行政・支援機関の活用:委託事業、公的機関からの業務請負などを積極的に取り入れる。

 


企業に仕事をもらうという考えでは無く、企業の社員の負担を減らす、障害者雇用の戦力化をサポートするというスタンスで、企業と就労支援がwinwinになる仕組みが必要だと思っています。
 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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