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【相談専門支援員のブログ】職場実習等で適性を見極めるポイント 

障がい者雇用における職場実習等は、企業と求職者の双方にとって適性を見極める貴重な機会です。書類や面接だけでは把握できない、実際の作業環境における能力や行動特性を把握し、ミスマッチを防ぐ為 にも、即採用を判断せずに、就労支援事業所からの施設外就労や実習・トライアル雇用の利用は重要です。実習中などに課題が見えたときの対処方法は以下の通りです。

 

STEP 1:事実確認と原因分析

能力不足なのか「環境との不一致」なのか
・行動観察・ヒアリングを通じた課題の特定
・作業工程・職務内容・勤務態度・周囲の反応を確認
・本人との面談(不満・困り感・誤解の有無)
・上司・同僚からの客観的フィードバック

 

ポイント:「ミスマッチ」か「支援不足」かの切り分けが重要
 

STEP 2:合理的配慮の再設計

『職場で可能な範囲』での工夫
・作業の手順化(視覚的指示、タイムタイマーなど)
・就労時間の調整、静かな作業スペースの確保
・書面やチャットでの指示に切り替える
・業務内容の一部変更

 

ポイント:「合理的配慮」の見直しと実行

 

STEP 3:配置転換・業務内容の見直し

・業務適性に応じて部署・業務内容の再配置を検討
・業務の分担・再編(チーム作業化、工程の細分化)

 

 

STEP 4:支援機関との連携(1社で抱え込まない)

外部支援機関を巻き込むことで効果的に対応できます。
・就労定着支援事業所
定着支援・本人の特性や課題整理・企業向け助言

 

・地域障害者職業センター
ジョブコーチ派遣、職場適応指導、職場改善提案

 

STEP 5:本人との合意形成(中長期的視点)

・状況の共有と見通しを持たせる(今後どうしていくか)
・障害特性の理解を深めてもらう(自己理解支援)
・業務評価の基準を示す
・退職を検討する場合でも、支援機関や本人の同意を重視

 

実習後のフィードバックと今後の活用

実習の最後には、当事者・支援機関・企業の三者でフィードバックの場を設けることが望まれます。評価結果は採否判断だけでなく、採用後の支援設計にも活用可能。職場実習は「採用前の試験」ではなく、「職場との相性を確認する対話の場」として位置づけることが大切です。

※ミスマッチ=即不採用・即解雇ではなく、合理的配慮と話し合いを尽くすことが原則
※「就業規則」「雇用契約」に沿って、指導記録や面談記録を残しておくことが重要
※最終的に不採用・退職に至る場合も、支援機関と連携して本人の再就労支援につなぐ配慮が望ましい

これは、一般企業に限らず、就労支援事業所での採用にも利用できると思います。
 

 

見極めるべき主なポイント

1. 作業遂行能力
指示通りに作業を進めることができるか、作業手順の理解力、反復作業への集中力、スピードと正確性などを観察。可能であれば複数の業務を経験してもらい、得意・不得意を具体的に把握。


2.コミュニケーション能力
上司や同僚とのやり取りがスムーズにできるか、報連相の習慣があるかを確認。発語が困難な場合でも、筆談・チャットなど代替手段を含めた意思疎通が可能かを見極め。

 

3.職場環境への適応性
音・光・人の出入りなど、環境への感受性が業務に支障を与えていないか、疲労の出方や体調の安定度も観察対象。業務時間や休憩の取り方にも注目し、長期就労が可能かを推測。

 

4.態度・マナー
遅刻・無断欠勤の有無、挨拶や整理整頓、服装など基本的なビジネスマナーの確認。習慣の定着に時間がかかる場合は、どの程度まで支援があれば改善するか。

 

5.支援の必要性と範囲
どのようなサポートがあれば安定して業務ができるかを記録し、合理的配慮の設計に活用。

 

実際に起きがちなケース別対処法例

ケース1:仕事が覚えられない(ASDの傾向)
原因:曖昧な指示、記憶が一度で定着しない
対応:
・作業マニュアルを写真付きで可視化
・視覚的な手順カード
・作業手順を動画で学習させる
・タスクを分割して1ステップずつ伝える

 

ケース2:遅刻や無断欠勤が多い(ADHD・うつ傾向)
原因:生活リズムの崩れ、自己管理の困難
対応:
・定期的なスケジュール面談
・勤務時間を午前→午後開始に変更
・就労定着支援事業所と連携して生活支援も並行

 

ケース3:職場でのトラブル(感情のコントロールが困難)
原因:ストレス耐性の低さ、空気の読めなさ
対応:
・感情を溜め込まないよう、定期面談・メモを活用
・緊張が高まる場面(会議など)を回避
・同僚との間に調整役を置く

 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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