発達障害(ASD、ADHD、LDなど)の診断を受けていない、あるいは申告していないまま企業で働く社員や就職活動をしている人が増えています。
こうした“発達特性を抱える人”は、障害者雇用枠ではない一般枠での就労であり、周囲の理解や職場環境とのミスマッチにより、業務不全・孤立・メンタル不調により、退職、就職できないなどの問題を抱えており、早期の気づきと適切な対応が求められます。
これらは「意欲がない」「能力が低い」わけではなく、脳の特性に基づく困難さです。対応の第一歩は、“本人の問題”とせず、業務の構造や職場の環境を工夫することにあります。
「働きづらさ」を感じる人に対して柔軟に対応することは、それらの人々への一般就労・定着、離職防止、 だけではなく、全社員の生産性向上につながります。
【1】一般企業における対応策
A. 採用・人事制度の柔軟化
オンライン面接・トライアル・インターンなどを導入し、発達特性による苦手さを補う。
B. 職場での合理的配慮
明確な指示のマニュアル化や、タスク管理ツールの活用。過度な口頭指示を避け、視覚的サポート(チェックリスト、図解)を用いる。ノイズキャンセリングイヤホンの利用、静かな席への配置。
C. 相談窓口の設置
発達特性への理解を持った担当者・外部相談機関の利用など気軽に相談できるようにする。
D. 社内啓発・教育
発達障害に関する社内研修の実施。発達特性のある社員と一緒に働くことへの理解を深めるため、eラーニングや講師派遣など利用。
【2】福祉的支援
A. 障害福祉制度の狭間への支援(公的支援)
・自立相談支援事業(基幹相談支援センターなど)
就労に関する課題(職場でのトラブル、仕事の適性)について継続支援が受けられる場合あり。
・発達障害者支援センター(各都道府県に設置)
就労支援セミナー、本人向けSST(社会生活技能訓練)、職場向けの職場適応支援などが実施。
B. 就労移行支援・継続支援事業所の利用
・就労移行支援での具体的支援
職業準備訓練、職場体験、就活支援、定着支援
・就労継続支援での具体的支援
働く環境提供、職場適応支援、体調管理支援、対人関係、通所の安定化
発達特性を持ちながらも、「障害」認定されていない人々への就労支援は、制度の谷間に落ちやすい問題です。そのため、「認定の有無に関わらず支援を受けられるルートを開くこと」が重要となります。
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