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月刊総務2017年7月号にてカムラックをご紹介いただきました!

月刊総務
企業トップインタビュー 
働く障がい者の新たな未来を創るITの就労継続支援A型事業所

障がい者の自立と雇用継続、企業との共存共栄を目指して設立された、就労継続支援A型事業所の株式会社カムラック。同社では、障がいのあるメンバーがITスキルを学び、その能力に合わせた仕事を創造。彼らに戦力となってもらうことで、ITビジネスの会社として成果を出している。この事業を第一歩に、高齢者や子育て中の女性など、全方位からの一億総活躍社会の実現を目指す、同社トップの賀村研さんにお話をうかがった。                        
文 石田ゆう子
 
 
編集部 まずは御社の概要から教えてください。
 
 
賀村 当社には、約10人の管理スタッフと、50人から60人の障がいのあるメンバーがおり、彼らの外部収入(売り上げ)によって企業運営がなされています。特徴的なのは企業がITであること。オーダーメードのシステム開発からデータ入力まで、レベルに柔軟性を持たせて仕事をしています。障がい者が組織として、一般のIT企業と同じ仕事をしている当社のようなケースは、日本ではまだ珍しいと思います。
 
障がい者を、お金をもらう側から納税者へ

編集部 なぜ、就労継続支援A型事業所(以下、A型事業所)を始められたのですか?

賀村 社会貢献事業で成果を出そうと考えたときに、障がい者の就労支援が国の制度がいちばん整っていたからです。A型事業所は、販管費などの一部に国からの給付金を使うことができます。ということは間接費の分、他社より有利なわけで、障がい者の労働力を安売りすることなく勝負できるということです。
 私は二つのミッションに取り組んでいます。一つは、全国に八五〇万人いるといわれている障がい者を戦力にしていくこと。今、少しでも納税者を増やそうと、国を挙げて高年齢者や女性の活躍推進を進めています。当社は障がいのある人たちが自分で稼げるように、必要な技術を訓練し、実際に仕事で成果を出してもらいます。「一億総活躍」を全方位から考える中での第一歩が、当社の事業だと考えています。

編集部 IT事業とした背景は?

賀村 そこには、地方のIT業界が抱える問題がありました。地方の都市部の企業は支社がほとんどで、IT関連は本社が一括管理していることが多いため、IT企業は開発力での差別化が難しいのが現実です。また、技術者はお客さまのオフィスで仕事をしていて、ある日急にコストの安い若手に交代されて会社に戻される。その頃にはもう、ほかの仕事ができなくなっています。そうしたベテラン技術者を生かす仕事を創出したいという思いも、この事業を始めた背景にはあります。
 私自身、東京から福岡に移ってきたとき、提案型営業を得意としていた自分を生かせるところが見つからず、苦労しました。そうした中で、「自分の価値を高め、世の中で選ばれる会社にしたい」との考えを持った先進的なIT企業の社長と出会い、一緒に新規事業をやることにしました。「高齢者や女性、障がい者など、全方位での一億総活躍的な仕組み作りを目指す」というのは、その社長とともに描いたビジョンです。そこからA型事業所の話も出てきました。ベテラン技術者が先生として、障がい者を訓練する。障がい者もベテラン技術者もやりがいを持って仕事ができる事業を起こしたかった。ただ、残念ながら社長は、志半ばで亡くなられました。その意志を引き継いで始めたのが、このカムラック
です。社長がいっていたことを証明したい。そんな思いが、今の私の支えにもなっています。
 やりたいのは、選ばれる会社を、その価値のあるIT企業を作ることです。そのためにまずA型事業所を作り、二年後に関連会社の株式会社elseifを作りました。こちらは、高品質を強みとするプロフェッショナルな技術者集団です。カムラックだけでできる仕事もあれば、elseifと組まないとやり切れない仕事もある。二社が取りくむことで、社会貢献性と高品質の両方を兼ね備えたサービスが提供できる。お客さま企業は、「同じ仕事をお願いするなら、社会に役立つことを」と私たちを指名してくださいます。その代わり私たちはも品質は必ず担保にする。障がい者なのだから、という妥協は一切ありません。
 
障がい者が戦力となるA型事業所のロールモデルを実現

編集部 賀村さんのもう一つのミッションとは?

賀村 実はA型事業所には、いわゆる障がい者囲い込みビジネスが少なくないのです。雇用した障がい者には、短時間の仕事や自習をさせるだけ。それでも国からは給付金が出るので、障がい者の給料や経費を引いても、経営者にはお金が入ります。本体、給付金から障がい者のお給料を支払ってはいけないのですが、障がい者の就労促進を優先するため、長く見過ごされました。ですから、「A型事業所に行くだけでお金が貰える」との誤った認識を持っている障がい者や家族が多いのです。ならば私が本物のA型事業所を、本当のロールモデルを作ろう!と。これが、もう一つのミッションです。
 正直、成果を出せるか、わかりませんでした。特に精神障がい者の雇用は、当時世の中にもまだ事例が少なかった。それでも勝負しました。二〇人の障がい者を集めて、半年は仕事を取らずに徹底的に訓練。働く時間も六時間から八時間、給与も八時間勤務の人は十五万円以上と、最初から背伸びして始めました。利益を出さないと事業としてやっていけないので、メンバーには、「明日、来られる?大丈夫?」ではなく、「明日、来てね!来てもらわないと、仕事が終わらないから!」と障がい者としてではなく、普通に社員として接するしかありませんでした。でも、結果的にそれが良かった。今、当社で働く精神障がいがある人たちの出勤率は、八割以上。毎日、楽しんで会社に来てくれます。

編集部 それはすばらしいですね。

賀村 私がメンバーによくいっているのは、生活していく上では自分中心でいい。ただし、カムラックに一歩入ったら、自分中心から、お客様中心に変えましょう、ということ。お客さまのために、あるいは、一緒に働いている仲間のために、と考えられるようになれば、意識も変わってきます。それに、今は社内にロールモデルとなる先輩がたくさんいる。これは当社の強みですね。そういう先輩たちが、苦しいときの乗り越え方も教えてくれます。
 もちろん、落ち込むこともあります。けれど、腫れ物に触れるように接するのではなく、「君がいないと困る!」と正面から向き合えば戦力になります。こうした成功体験を書いた本『日本一元気な現場から学ぶ 積極的障がい者雇用のススメ』(good.book)も出しました。法定雇用率のために採用するのではなく、仲間として受け入れ、活躍しましょう、私たちはそれで結果が出ていますよと、紹介しています。
 
編集部 体調を悪化させてしまう不安はなかったのですか?

賀村 組織としての配慮はしています。業務スタッフと福祉スタッフがいるのですが、業務スタッフはメンバーに思いっきり仕事をさせる。その代わり、福祉スタッフが全力でフォローする。
 世の中には、当社のやり方を好ましく思わない人もいます。でも社員は結果を出してくれている。わたしがすごいのではありません。私の話は、全てわが社の社員の自慢話です。
 
日本一元気な職場は成約につながるショールーム

編集部 大事なのは、障がい者と正面から向き合うこと。

賀村 はい。メンバーにしても、「認められている。居場所がある」ことがどれだけうれしいか。がんばれば、お客さまが「すごいね」といってくれる。認められ、感謝される。大切なのは、そういったシチュエーションを作れるかどうかです。今、事業所にお客さまがいらっしゃると、みんなで「いらっしゃいませ!」「こんにちわ!」と大きな声で迎えます。ものすごい活気のある職場に、みなさん、びっくりされます。特に、取り引きを迷われているお客さまや「IT?まさか」と思われるお客さまには、まず職場をお見せします。バリバリ仕事をしているようすを見て「これはすごい」と思ってくださり、実際、迷っていたお客さまの八割近くが成約になります。会社がショールームなのです。

編集部 そうやって、日本でいちばん元気がある職場を作られてきたのですね。今後の展望は?

賀村 年内にもう一つ、A型事業所をオープンし、さらに新たに「就労移行支援事業所」を作ります。こちらは、就労するための訓練をする学校です。お客さま企業をはじめとして、周囲からカムラックブランドの人材を採用したいとの声が増え、それに応えるためです。学校は原則一八歳以上からなので、小学校から一八歳までを対象にした「放課後デイサービス」を作ることも考えています。こうしてカムラックで一気通貫で学び、カムラックの取引先に就労する。あるいはA型事業所で働く。そんなカムラックグループ構想を描いています。
 この制度をうまくできたら、同じ思いの人たちとフランチャイルズで全国展開していくのもいい。また、elseifを中心に、ベテランの社会進出や、子育て中の女性が働ける制度など、全方位に向けての取り組みも考えています。
 本当に社員に助けられてここまで来ました。だからこそ、私は絶対におかしいことはできません。信じさせてあげるというのも大切。社長室のドアは開けっ放しです。自然とみんなに、会社の方針や考え方が伝わるようになっています。私がこのように「メンバーががんばっているおかげ」といっても、聞こえたらうれしいじゃないですか。そうするとまた会社は元気になります。私も彼らと一緒に思いっきりやるのが今は楽しい。同業の一般企業をこの先、どれだけ追い抜けるか、それがまた楽しみでもあります。
『月刊総務』2017年7月号掲載
 
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