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【相談専門支援員のブログ】就労支援の職員教育について

令和6年10月末に、厚生労働省の「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」より「職場適応援助者などの障害者就労を支える人材の資格化に向けた検討」の中で、「就労支援」の人材の育成について「一般企業での職場適応援助者」だけでなく、福祉サービスである「就労移行支援・就労継続支援」の職員に対しても、研修の受講を必須にする案が発表されている。この検討会は、14回目の分であり、「一般就労での職場適応援助者」についての検討が主ではあるが、以前から、福祉サービスでの就労支援での人材教育は案としてありました。
 

目的の変化

障がい児の「放課後等デイサービス」は、事実上、「国家資格」を持っていることが職員の条件です。翻って、就労支援は、事実上、「サービス管理責任者」以外は、無資格で働くことが出来ます。結果、職員の多くが、「福祉」・「就労」、どちらの知識も持っていないか、就労の知識が不足している状態であることが散見されるようになりました。
 

この検討会では、障害者雇用に関して一般企業での障害者の定着を焦点にして居たように感じますが、労働人口が減少している今日、「働ける障害者を企業に送り込む」ことにも目が行くようになったとも言えます。


以前の就労支援は、一般企業への障害者就労に関しては、「就労移行支援」が担当していて、就労継続支援は「一般企業では働けない障害者への仕事の斡旋」を目的としていたように思えますが(就労継続支援B型には「居場所作り」を目的としている事業所も多い)、数年前より、一般就労した利用者の数だけ加算がつくようになり、就労支援事業所にとっても運営上、一般企業への就職は無視できないようになってきました。
 

そのためには、事業所内だけでなく、一般企業との連携も必要になり、障がい者雇用への理解、視点の一致、企業と連携するためのスキルが必要になってきています。そこで「雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修(基礎的研修)」を職場適応援助者と同じ研修、更に、実務経験により「実践研修」や「スキル向上研修」を受講することを義務づける案となっています。


サービス管理責任者も別枠に「専門コース別研修」と書かれており、詳細は分かりませんが、就労において踏み込んだ計画を立てられ、進捗確認ができるようにしていきたいのだと思われます。

 

スタッフの知識や経験

前述したように、そもそも、職員の多くが、福祉に関しての知識も無いことで、本人の特性に合った支援が出来ておらず、画一的な支援になっていたり、症病名が分かっていても「個別」対応ができていなかったりすることもあり、就労支援事業所でさえ、定着がままならなかったりする例もすくなくありません。
 

就労支援は事業所の定員が決まっており、売上が上がっていない事業所も多く、売上は利用者の給与や工賃とすることが前提になっています。その関係上、職員は義務づけされている人数ギリギリで配置されていることが多くなります。


例えば、定員20名で施設外就労も20名、計40名の事業所において、施設外就労先が1カ所だとしても6人の職員(生活支援員+職業指導員)で対応することになります。職業指導員が4人、生活支援員が1人とした場合、事業所内の職業指導員は10人の利用者に対応する必要があり、生活支援員にいたっては、1人で40人の利用者に対応する必要が出てきます。
 

また、上記の例の場合、施設外就労先には、生活支援員はいないことになり、職業指導員が「仕事」のみ理解していては、障害の特性に関するトラブルが起きるリスクがあります。その対応としてサービス管理責任者が作る「個別支援計画書」という職員への「指示書」が就労を理解した的を得た物になっていることは必須になるのは自明だと思われます。

 

今後、福祉における就労支援は企業との連携が必須になっていくことになると思われます。そのためには福祉での就労支援と一般企業での障がい者雇用が「別物」にならないようにしていく必要があり研修などにより、その知識やスキルを身につけていくことが必要になると思われます。
 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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