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財界九州2月号(No.1109)Talk Aboutに掲載されました

財界九州2月号のTalk Aboutに『障害者雇用-法を守るだけでは本末転倒』というタイトルで掲載いただきました。

財界九州2017年2月号(NO.1109)財界九州掲載許可済み
 
TALK about~
賀村 研氏
カムラック社長

 
●日本獣医学部卒業後、大手ゼネコン、ITベンチャーなどでの勤務を経て2013年に独立し、
カムラックを設立。著書に「日本一元気な職場から学ぶ 積極的障害者雇用のススメ」。
1972年生まれ。愛媛県松山市出身。
 
「障害者雇用-法を守るだけでは本末転倒」

 ビジネスの現場で障害者を戦力として育成し、会社を成長させるー。私はウェブサイトで使うアイコンやロゴのデザイン、アプリ開発などを請け負うカムラックを経営しているが、福岡市内の二つの事業所に60人ほどいる社員のほとんどが障害者だ。設立して3年を経過したが、年々事業規模を拡大している。健常者によるソフトウエア開発会社や、企業の障害者雇用を支援する会社を設立し、企業の幅を広げている。まずは、障害者雇用を100人まで増やし、他の企業にも広げるための仕組みを確立していきたい。
 なぜこんなふうに障害者雇用に積極になれるのか、不思議に思われることだろう。人口減等の背景に、雇用の多様化やそのための就労環境整備が求められる昨今だが、障害者雇用に確固たる方針を持つ企業は少ない。障害者雇用制度が定める法定雇用率は、従業員50人以上の民間企業の場合で2.0%だ。企業はこれに従って障害者雇用を実施しているが、そのほとんどの障害者を“お客さま”扱いしている。彼らにエンジニアやデザイナーとしての一定のスキルがあり、職場での成長を望んでいたとしても、法定雇用率を守るのを第一義とし「無理せず、定時まで、職場にいてもらえればいい」というような雇用にとどめていることが多い。
 また「障害者総合支援法」は、障害者の就労支援施設として「就労移行支援事業」「就労継続支援A型事業」「就労継続支援B型事業」の三つを認可しているが、うち雇用を前提にした“A型事業所”の場合、事務所の運営経費として、障害者1人当たり1日6000円の給付金が支給される。20人雇用して月の稼働率が22日だと毎月250万円以上が支給される。しかも、労働時間とは関係ない一律支給だ。そのため、さして仕事もないのに、障害者を抱え込む、4時間ほどの短時間労働しかさせない、といった給付金が目的であるかのような事業所は少なくない。企業規模によるが、週20~30時間勤務すると、社会保険の適用が求められるため「働かせない方が収支が良い」と計算する経営者もいる。これでは本末転倒と言わざるを得ない。
 当社もこのA型事業所だ。しかしその発想は、結果的に障害者のやりがいを奪っている事業所とは根本的に異なる。重要なことは、A型事業所という制度をどう理解し、活用するかだ。私は、給付金が得られる分、経費を削減できるわけだから、健常者が働く一般企業よりも、コストパフォーマンスの高い商品やサービスを提供できると解釈している。これが大きな競争力であることは言うまでもない。あとは社員のスキルを磨いていけば、多くの障害者を雇用し戦力化している企業という、公益に照らした付加価値も得られる。
 もちろん、企業が法や制度、障害者の能力などについて実態を知る事は欠かせないことだが、“1億人総活躍”が求められるのならば、全国に860万人いるとされる障害者の能力も活用されるべきだ。昨夏は、安倍晋三首相を招いて福岡で開催された「1億人総活躍・地方創生全国大会in九州」で登壇させていただいた。今後も事業を通じて、障害者が有望な人材であることを訴えていくつもりだ。

 

 


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