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【相談専門支援員ブログ】障がい者雇用における合理的配慮とは

障がい者雇用における合理的配慮とは、以下のことを言います。

  • 募集及び採用時においては、障がい者と障がい者でない人との均等な機会を確保するための措置
  • 採用後においては、障がい者と障がい者でない人の均等な待遇の確保または障がい者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための措置

 

誰目線の合理的配慮なのか

企業は合理的配慮を提供する義務はありますが、障がい者が希望する措置が「企業にとって」過重な負担だった場合、説明は必要ですがより提供しやすい措置を講じることとすることは問題ありません。


「配慮」という言葉が、企業をおいて一人歩きしてる状態で、利用者やご家族、福祉支援員が誤解して使っていることを時折聞きます。当然、企業は企業の活動に負担を感じるような実現困難な希望を講じる必要はありません。私の考えとしては、障がい者本人の仕事においての売上を超える措置は「明らかな過重な負担」と思いますし、欠勤などが多すぎれば雇用について考え直すことは差別ではないと思っています。


福祉の立場から考えても、障がい者本人の経済的事情や社会的自立を考慮に入れたとしても先ずは本人の健康状態の改善や安定が優先すべき事ですから、状況によっては仕事よりも治療や休息を重点的に行うことが望ましい場合だってあると思います。障がい別の配慮内容ですが、もちろん個々の方々で違うべきなのですが身体障がい、知的障がい、精神障がい、発達障がいにおいて大枠で傾向があると感じます。

 

障がいのことをもっと理解する

発達障がいは、精神障がいの一部と言えるかと思いますが、配慮の仕方においては、知的障がいと似ています。発達障がいの一つである「自閉症スペクトラム」はIQの高さなどで生活の困難さが異なります。なので、診断に「発達障がい」とあっても「知的障がい」である「療育手帳」をお持ちの方もいます。


どちらも、精神状態の不安定さに問題があるわけではなく、IQの問題や独特の考え方などがあり特に会話でのコミュニケーションを苦手としているところがあります。なので、マニュアルに図や写真・動画を使うなど手段や障がいの特性を理解している支援者の存在は働き易さに繋がっていく合理的配慮の一つと言えます。
 

マルチタスクが苦手で一つの作業に集中できるという特性があることを踏まえた能力が発揮できる仕事に配置することは、本人のみならず企業にも有用な手段と言えると思います。その際、業務内容を簡略化できるならなお良いでしょう。

 

精神障がいの方と身体障がいの一部である内部障がいの方への配慮も似ています。服薬や病院受診を必ずしも必要としない発達障がいや知的障がいのある方と違い、定期的な病院受診を行っており、急な体調不良による欠勤などが必要と思われる障がいと言えます。よって、休みが取りやすい環境や通院時間の確保、短時間勤務の検討等が合理的配慮の一つとして考えられます。


身体障がいの肢体不自由や視覚障がいなどは、移動しやすい環境の提供など企業側にも何をすべきなのかが分かりやすいですし、障がい者本人も何をして欲しいのかが伝えやすいと思います。

 

企業と福祉専門家が協力する必要性

企業にとって分かりにくいのが「発達障がい」です。「発達障がい者支援法」が施行されたのは平成17年であり一般の方々にもなじみが薄く、ましてや企業にとってイメージしにくく本人のコミュニケーション能力の問題もあり、配慮すべき点が分からず、配慮が実施されていないことや能力が十二分にあるのに採用されなかったり、試用期間において解雇されるような話も聞いたりします。


「合理的配慮」は、提供する義務があるものの「企業努力」に影響されるものであり、精神障がいの方のように本人に合うと思われる仕事を提供しても、必ずしも雇用の安定に繋がるとは限らないの実情です。だからこそ、福祉と就労が力を合わせることで、障がい者の労働の機会の向上と、少子化等による企業の人手不足に関して「安定した障がい者雇用」という回答を提示できると期待します。
 

 


 

 


上記、移行支援バナーは、移行支援事業所の利用者が制作しました。

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